急性心筋梗塞について

【急性心筋梗塞とは】
急性心筋梗塞は、心臓を栄養する血管(冠動脈)が突然閉塞することで、心臓の筋肉(心筋)への血流が途絶え、心筋が壊死をする状態です。壊死した心筋は収縮する力を失い、心臓が血液を送り出すポンプとしての機能が悪くなります。
多くは冠動脈の動脈硬化(プラーク)が破れることで血管の中に血の塊(血栓)ができ、血管が閉塞します。他には冠動脈が痙攣することで閉塞したり、不整脈などにより心臓内に形成された血栓が飛散することで発症することがあります。
心筋梗塞の死亡率は、病院にたどり着けず亡くなる方も含める30~40%程度といわれていますが、適切な治療を受けることで死亡率を5%程度まで低下させることができます。

【危険因子】
生活習慣病(高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙)、加齢、不摂生、ストレスなどがリスクとなります。

【自覚症状】
典型的には非常に強い胸が締め感が突然出現し、30分以上持続します。左肩や背中の痛み、左顎から歯にかけての痛み、腹痛、吐き気/嘔吐、不整脈によるめまいを感じる場合もあります。しかし、重症の糖尿病の方などは症状を感じないこともあります。
約半数の方は、心筋梗塞を発症する4週間以内に何らかの症状(前駆症状)がありますが、残りの半数の方は前兆なく突然発症します。

【合併症】
・心臓の力が弱くなることによるショックや心不全
・致死性不整脈(心室頻拍/心室細動)、房室ブロック、心房細動などの不整脈
・心臓の弁を固定している腱索が断裂することによる心臓弁膜症
・壊死した心筋が血圧に耐えられなくなって破れる心臓破裂や心室中隔穿孔
などがあります。

【検査】
まずは心電図検査を行います。その他に血液検査、心臓超音波検査などを行い、心筋梗塞が疑われる場合は緊急心臓カテーテル検査を行います。

正常の心電図       心筋梗塞によるST上昇

【治療】
緊急心臓カテーテル検査で血管が狭窄、閉塞していることが確認されたら、多くの場合、引き続いて緊急経皮的冠動脈形成術(冠動脈インターベンション)が行われ、詰まった血栓を吸引したり、血管をバルーン(風船)やステント(金属の網)で拡張したりします。患者さんの状態などにより、緊急バイパス術を行ったり、薬物治療のみで経過をみる場合もあります。
また、心筋梗塞は再発率が高いため、その後の生活習慣病の管理が非常に重要となります。

冠動脈が閉塞していましたが、緊急カテーテル治療で血流が再開
ステント