心房細動について

【心房細動とは】
心房細動とは、心房が小刻みに震えてバラバラに収縮することで、心室の収縮にも規則的なリズムがなくなり、脈の大きさや間隔が全く不規則になる不整脈です。
心房細動の発症・持続状態により『発作性心房細動』『持続性心房細動』『永続性心房細動』、脈拍数により『徐脈性心房細動』『頻脈性心房細動』などに分類されます。

【原因】
心臓弁膜症、先天性心疾患、心筋症、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)、心不全といった心臓疾患のほか、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患なども原因となります。その他に加齢、ストレス、喫煙、飲酒、睡眠不足などによりおきることもあります。

【自覚症状】
動悸、胸部不快感、めまいなどをおこすことがあります。しかし、全く自覚症状のない場合もあります。

【合併症】
心房細動になると、心臓の中に『血栓:血の塊』を作ることがあります。何らかのきっかけで血栓が飛散すると脳梗塞を合併します。脳梗塞の原因の約1/3を心房細動が占め、寝たきりなど特に重症化することが多いといわれています。
また、その他に失神や心不全を合併することもあります。

正常
左心耳内血栓
心房細動による脳梗塞

【検査】
心電図検査で心房細動を確認することで確定診断となります。時々発作を起こす方は24時間心電図検査やループ型植込み心電計で診断されることもあります。

正常の脈
頻脈性(脈の速い)心房細動
心房細動が停止した際に心拍が停止した状態⇒ふらつきや失神をおこす

【治療】
治療は①脈の治療、②血栓の予防/治療をおこないます。
①脈の治療
 ・電気的除細動、カテーテル治療、抗不整脈薬などで正常の脈に戻す治療をおこないます。
 ・頻脈(早い脈)に対してβ遮断薬、ジギタリス、Ca拮抗薬などを服用したり、
  徐脈(遅い脈)に対して人工ペースメーカ植込み術を行うことがあります。

②血栓の予防/治療
 症状がなくてもリスク(心不全の既往、高血圧、75歳以上、糖尿病、脳梗塞の既往)に応じて抗凝固療法(血液サラサラ)を行います。腎機能や心臓弁膜症手術(機械弁)の既往などに応じて直接的経口抗凝固薬(DOACs)やワルファリンカリウムを服用します。上記リスクが一つでもあれば抗凝固療法の適応があります。
**ワルファリンカリウムを服用される場合は、ビタミンKを多く含む食品(納豆、青汁、クロレラなど)は控える必要があります。